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四代目、X100F

気温はそろそろ春を通り越して初夏に迫る勢いだ。すこし前まで木々は枯れ木同様だったのにすでに緑の葉に包まれている。
暑さに弱い自分はもう冬物はしまいこみ、来たる梅雨の時期を考えて戦々恐々とする日々。出かける際にはTシャツの上に軽くシャツを羽織るシーズンだが、なかなかぴったりのサイズが見つからないので服屋に行くのは好きではない。それでも最近、何店舗か巡ってようやく裄丈の長いものを見つけた。いっそのこと洋裁を学んで自分で作れるようになりたい。

さて、今までX100Fにフォーカスしていなかったのでいくつか自分が気に入っている点について書いてみよう。

X100Fもアップグレードの内容は今までと変わらず、主軸はその使い勝手の向上にある。

中でも嬉しいのはX-Pro2から採用されたフォーカスレバーの採用だ。正面から見ると一瞬モンブランのロゴマークを思わせるこのレバー、直感的にフォーカス位置を8方向へ自由自在に移動できることでオペレーションスピードの向上に寄与している。もうボタン操作に煩わされることがなくなったのは大きな改善だ。マクロ切り替えボタンの廃止もかなりありがたい。今までなら何か近くのものをいざアップで撮ろうとするとフォーカスが合わない、そういえばとマクロに切り替える、今度はそのままにしてしまい、後でやれやれとマクロをオフにする。慣れればなんということもないが、やはり煩わしかったこの操作からついに解放された。

センサー画素数が時代の流れに合わせて向上しているのも良い。自分はもっぱらRAWで撮影しており、近くのものを撮る際には少し引き気味で撮影して後からクロップすることがよくある。換算35mmでは寄りすぎるとパースがきつすぎる場合が往往にしてあるからで、そんな時には画素数が多いと助かる。建物をパースを付けずに撮る際もやはりクロップすることになるので余裕のある画素数はやはり嬉しい。

ISOの自動設定を利用している人はかなり多いだろう。X100FではISO自動設定にも変更が入り、低速シャッター限界の最高速度は1/125だったのが新たに1/500を設定できるようになった。たとえ感度が上がってしまっても、気楽にブレのない写真を撮りたい街歩きの際などにありがたい改善となっている。ISOの設定は往年のフィルムカメラのようにシャッタースピード設定とのコンビネーションダイヤルで行えるようになっており、いっそうクラシック感が増した。個人的にはこのダイヤルを利用してISOを変更することはほぼないが、ギミックとしては面白い。

デザインはかなりリファインされてエッジがシャープに立ち上がるようになっているほか、モデル名の筐体前面からの削除に伴い高級感も増している。見るとシルバーの調色も変わり、以前まではどちらかというと青魚の持つシルバーに近かったのがX100Fではタチウオのような白を増した色味の銀に寄っている。この色を見るまではブラックを考えていたが一目見て気に入ってしまい、今回もシルバーに。

設定可能なボタン類は飛躍的に増え、LVF/OVF切り替えレバーにさえもボタンが付いた。
右手だけで操作するなら押しにくい位置なのだが、両手でホールドするなら右中指をこのボタン専属にできるので少し考えてAE/AF Lockを設定した。マニュアルフォーカスで両手保持が基本であればこのボタンでAFが可能となる。
構図を決めてファインダーを覗き、右中指でボタンを押してフォーカスを合わせる。合焦したガラスのさらに向こうに左手でフォーカスリングを回してピントを送り、右人差し指でシャッターボタンを押し込む。この自由な感覚がなんとも楽しい。

正常進化を遂げたX100Fだが、使い勝手が良くないところもある。
うっかり押してしまうQボタンの位置にはだいぶ慣れてきたものの、リアコマンドダイヤルにはどうにも慣れることができないでいる。これは押し込んでボタンのようにも操作できるし回すことで設定を変えることもできる。困るのは左右にダイヤルを回そうとしているのについ押し込んでしまい中途半端な位置で設定値が確定してしまうところで、今はこのリアコマンドダイヤルを回さなければいけない状況になるとかなり集中して操作する羽目に陥っている。そして一番の問題は電源を切るたびにマニュアルフォーカス位置がリセットされるようになったことだ。おそらくレンズを守るため安全側に機能を振ったのだろう。しかしマニュアルシューターにとってはかなりのデグレードとなるので、もし次モデルでレンズを変更するなら距離指標の追加とともに改善してほしいところだ。 (追記:現在はファームウェアのバージョンアップにより解消されている。FUJIのこういったファームウェアアップデートにはいつも感心させられる)

気になる点もあげたがX100Fをとびきり気に入っている。
X100Tから追加されたUSBチャージ機能も嬉しい。旅行に行く際に荷物の点数を減らせるのには想像以上のメリットがある。

ストラップはしばらくリストストラップを付けていたのを首からかけるタイプのものに変えた。すでにストラップ自体は持っていたので三角環につけるあて革だけ新しく購入することにしたが、なかなか良いものが見つからない。ようやくAcruでキャメル色のコードバンのものを見つけ、注文して待つこと数日。もともとストラップ自体も同じメーカーのものだったので色味の相性も問題なくフィットしている。

X100Fは日常に彩りを添えるカメラとして文句なしのフラッグシップだ。写真を撮ろうと意気込まなくても出かけるときには鞄の中にとりあえず放り込んでおけば良い。いつも手の届く場所にカメラがあるという安心感は写真が好きな人なら誰しもが望むものではないだろうか。コンパクトで高機能なX100Fならその望みを十二分に叶えてくれる。

Yusuke Shinozaki